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Tokyo, 4月 05, 2021
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A Selection of Music + Digital Art in Q1, 2021

Select 2021 Q1 1920 1080 A

MUTEK.JPは2021年の今年、スタッフが聴いたり視聴覚体験してインスピレーションを受けた音楽 / デジタルアート作品を四半期ごとに公開していきます。スタートするきっかけは、定期的に最新作品をディグし、スタッフ間で共有することで、MUTEK.JPが毎年年末に開催しているフェスティバルのキュレーションに活かすという目的がありますが、加えて、単に素晴らしい作品を多くの人と共有したいという思いから、このサイトを通して紹介していくことにしました。

第1期目は、音楽セクションは日本拠点のアーティストのリリース作品に限定しました。コロナ・パンデミック以降、国をまたぐアーティストの移動が困難になり、2020年度のMUTEK.JPフェスティバルのラインナップは結果的にローカルのアーティストにフォーカスしました。2021年度の移動状況はまだどうなるかわかりませんが、現状は引き続き国内のアーティストに注目していきます。デジタルアートのセクションは、オンラインで視聴覚体験することが主なことから、インターナショナル / ローカル双方の視点で選出しました。将来的には、地域を限定することなく、MUTEK.JPが根ざす日本のシーンそして世界の視点からアーティストや作品を紹介していきたいと思っています。それでは、音楽6作品とデジタルアート3作品を以下に紹介します。

Music

Mars89
New Dawn

Bokeh Versions

東京拠点のプロデューサーMars89によるニューアルバム。過去にも彼のEPを数枚送りだしているブリストルのエクスペリメンタル・ダブ・レーベルBokeh Versionsからのリリース。斬新にも『New Dawn』は、メキシコのZeXY Labらが中心になって制作したこのアルバムを聴くためのVR作品と共に公開された。添えられたHoracio Warpolaによる詩的なテキストには「屍」「粒子の混沌」「火星の微生物」「肉体」「儀式」「暗黒のエネルギー」「超宇宙」「カタクリズム」といった単語が並ぶ。ヘヴィーなベース、機械的・有機的な効果音、ドラマチックなメロディと共に、退廃的かつ近未来的なサウンドスケープを創り上げている。

視聴:Bandcamp
VR : Bokeh.Tech

Mars89 newdawn

Ena
One Draw

Nullpunkt

ドラム&ベースから独自進化したサウンドで知られる多作なプロデューサーEnaの、ソロアルバムとしては実に6年ぶりのリリースとなった本作『One Draw』は、制作やライブを共にするコラボレーターのFelix Kが主宰するNullpunktからのリリース。モノクロな情景、ミニマルなループ、多様で豊かなテクスチャー、特異なリズムが特徴的だ。とくに"3 Digits"では、その反復する巧妙なリズムを頭で認識することができないまま身体が順応せざるを得ない状態にハマり、身体の自由を囚われた=グルーヴに乗る快楽の境地に達する。

視聴:Bandcamp

Ena onedraw

Julia Shortreed
Violet Sun

3人組エクスペリメンタルポップユニットBlack Boboiのメンバーとしても活動するシンガー / コンポーザーのJulia Shortreedによるファーストアルバム『Violet Sun』。2016年にアイスランド・レイキャビックに滞在して制作をスタートさせたという本作は、ノスタルジックなメロディと幽玄な彼女のボーカルが00年代前後の北欧アンビエント、エレクトロニカをどことなく想起させる。なかでも"Sol"はより前衛的な要素が垣間見れる曲で興味深い。心の奥深くに響きわたる良作。

視聴:Spotify / Apple Music / Youtube

Juliashortreed violetsun

Fumio Itabashi / Henrik Schwarz / Kuniyuki
Watarase

Mule Musiq

ジャズピアニスト板橋文夫が1982年にリリースした名曲"渡良瀬"を、ドイツ人プロデューサーのHenrik Schwarzと札幌拠点のKuniyukiがそれぞれリミックスした2曲を収録したEP。Henrik Schwarzは"渡良瀬"のメロディを継承しつつ、軽快で高揚感に包まれるような極上のエレクトロニックニュージックに変身させ、一方のKuniyukiは原曲のピアノの勢いはそのままに、タイトなベースや乾いたパーカッション、ストリングスを重ねてモダンにそして実験的に仕上げている。板橋文夫のソロアルバム『渡良瀬』を2018年にリイシューしたMule Musiqがリリースした。

視聴:Bandcamp

Watarase

Ryo Murakami
Tiers

Bedouin Records

本作『Tiers』は、大阪拠点のアーティストRyo Murakamiがバンコク拠点のBedouin Recordsからリリースする3枚目のLP。フルアルバムとしてはおそらく通算6枚目。弧を描くように歪むストリング、ピアノの旋律、轟くギターなど、丁寧に極められた、さまざまな音で構成されたドローン、ダークアンビエント作品。全体を通して一貫しているのは、その厳かな雰囲気である。なかでも"Mother"は、荒涼とした異国世界に存在する無上の美しさを目にしてしまったかのように、深く、聴く者の心を打つ。

視聴:Bandcamp

Ryomurakami tiers

Nami Sato
World Sketch Monologue

The Ambient Zone

仙台拠点のミュージシャンNami Satoが、これまでにもEPをリリースするUKのThe Ambient Zoneから発表したニューアルバム『World Sketch Monologue』。"アンビエントに対する愛情と実験" "この世界に対する尽きない疑問と好奇心"などを元に制作されたというこのアルバムは、さまざまなテクスチャーの音のレイヤーが味わい深い、時にエモーショナルで時に雄大なサウンドスケープ・ジャーニー。

視聴:Bandcamp

Namisato worldsketchmonologue

Digital Art

Peaches & Pussykrew
FilltheWhole.today

FilltheWhole.todayは、カナダのミュージシャンでありプロデューサー、ディレクター、ビジュアルアーティストのPeachesと、ディレクターとアーティストの集団Pussykrewが制作した、インターネットブラウザから直接アクセスできるオンラインアートワークと実験的なゲームの共同体験。2021年1月にCTMフェスティバルのCyberia Virtual Spaceの一部としてリリースされた。このトリッピーなヴァーチャル空間はパーソナルな感情や精神状態、ジェンダーフリーを探求しながら、ボディ・ポジティブに疑問を投げかけている。

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FTW

LaTurbo Avedon
Morning Mirror / Evening Mirror

ニューヨークのホイットニー美術館がインターネット・アートプロジェクト「Sunrise/Sunset」の一環として制作した「Morning Mirror / Evening Mirror」は、アバターアーティストのLaTurbo Avedonによる14本のビデオ作品で構成されている。このシリーズは毎日日没と日の出の時間帯だけ見ることができる仮想の鏡の中で、Avedonのアパート内を探求するデジタルツアーが仕組まれている。このプロジェクトを通して、Avedonは過去10年間にわたり取り組んでいるユーザーとヴァーチャル体験の関連性の探求を続けている。

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*ニューヨーク時間の日の出もしくは日没の時間帯のみ可能

Mirrors

Sabrina Ratté & Andrea-Jane Cornell
Floralia

「Floralia」は、カナダのビデオアーティストSabrina RattéとサウンドアーティストAndrea-Jane Cornellによるビデオシリーズ。2021年2月にHors Pistes Festivalの一環としてパリのポンピドゥーセンターで初公開された後、HYBRID - CUTTING EDGE CANADAの期間中にMUTEKのヴァーチャルギャラリーで展示された。Sabrina Rattéが生態系のシミュレーションと表現したこのシリーズは、テクノロジーと有機物を融合させ、視聴者に予測可能な未来を提供している。

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FLORALIA IV
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